診断を受けた直後、絶望を感じた。
息子が知的障害と診断された日のことは、今でも鮮明に覚えています。
医師から説明を受けながら、頭の中が真っ白になっていました。「これからどうすればいいのか」「何から始めればいいのか」、何も考えられませんでした。
息子は1歳半の健診で言葉の遅れがあり、2歳健診で専門機関を勧められました。その後、様々な小児科を回り、最終的に知的障害であると診断されました。
家に帰ってから必死に検索しました。でも情報が多すぎて、何が自分たちに必要なのかがわかりませんでした。
この記事は、あの頃の自分に向けて書いています。診断を受けたばかりで何をすればいいかわからない方に、最初にやるべき手続きを順番にお伝えします。
この記事でわかること
この記事では以下の5つを解説します。
診断後に最初にやるべき手続きの全体像、各手続きの具体的な方法と注意点、実際にやってみてつまずいたポイント、5つの手続きの優先順位の考え方です。
この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
手続き① 療育手帳を申請する
療育手帳とは何か
療育手帳とは、知的障害のある方が取得できる手帳です。
この手帳を持つことで以下のサービスや支援を受けられます。
税金の控除(所得税・住民税の障害者控除)、公共交通機関の割引、各種施設の入場料割引、就労支援サービスの利用、福祉サービスの申請がスムーズになることです。
等級は自治体によって異なりますが、多くの場合「A(重度)」「B(中軽度)」に分かれています。息子は現在、「A」と判定されています。(2年に1度更新があります。)
申請先と申請方法
申請先はお住まいの市区町村の福祉窓口です。
必要なものは以下の通りです。
申請書(窓口でもらえます)、写真(縦4cm×横3cm程度)、印鑑、健康保険証、マイナンバーカードまたは通知カードです。
申請後、児童相談所での判定(知能検査など)を経て手帳が交付されます。申請から交付まで3か月ほどかかりました。
実際にやってみてわかったこと
住んでいる場所によって異なりますが、私の住んでいる地域は手帳の交付をしてくれる児童相談所が遠く、また児童相談所自体の数も多くはなかったため、予約が取りにくかったことを覚えています。
一つアドバイスをするとすれば、窓口に行く前に電話で「知的障害の診断を受けたので療育手帳の申請をしたい」と伝えておくとスムーズです。必要なものを事前に教えてもらえます。
手続き② 特別児童扶養手当を申請する
特別児童扶養手当とは何か
特別児童扶養手当とは、精神または身体に障害のある20歳未満の子どもを育てている保護者に支給される手当です。
国が支給する手当で、所得制限はありますが多くの家庭が対象になります。
いくらもらえるか
支給額は等級によって異なります。
1級(重度)の場合は月額56,800円、2級(中軽度)の場合は月額37,830円です(2026年度現在 毎年改定されます)。
年3回、4月・8月・11月にまとめて振り込まれます。
私の住んでいる市の担当者はとても親切で、手当等について説明を受けましたが、これを知らずに申請しないままでいる家庭も多いようです。診断後すぐに申請することを強くおすすめします。
申請方法
申請先はお住まいの市区町村の福祉窓口です。
必要書類が多いため、窓口に事前に電話して確認することを推奨します。主な必要書類は以下の通りです。
申請書(窓口にあります)、戸籍謄本、世帯全員のマイナンバーカード等個人番号がわかるもの、預金通帳(手当を受給する方:保護者)、口座申出書、本人確認書類(免許証等)、医師の診断書(指定の様式)です。医師の診断書に関しては先に療育手帳を取得していた場合は不要です。
手続き③ 受給者証を取得する
受給者証とは何か
受給者証とは、障害福祉サービスを利用するために必要な証明書です。
この証明書がないと、放課後等デイサービスや療育施設などが原則、利用できません。逆に言えば、受給者証さえあれば国が定めた負担上限額内でサービスを利用できます。
なぜ最初に取得すべきか
療育を早く始めたい場合、受給者証の取得が最優先になります。
基本的に放課後等デイサービスや児童発達支援事業所を利用するには受給者証が必須です。取得に時間がかかるため、診断後すぐに動き始めることをおすすめします。
申請の流れ
申請先はお住まいの市区町村の福祉窓口です。
申請から取得まで、自治体によって異なりますが2か月程度かかりました。
取得後は「支給量」と呼ばれる月に利用できる日数が決まります。最初は少なく感じるかもしれませんが、更新時に増やすことができます。
なお、受給者証の申請にはサービス等利用計画書が必要なため、相談支援専門員(手続き④)と並行して動くことをおすすめします。
手続き④ 相談支援専門員を探す
相談支援専門員とは何か
相談支援専門員とは、障害のある方やその家族の相談に乗り、必要なサービスをコーディネートしてくれる専門家です。
サービス等利用計画書という書類の作成を担当します。この書類は受給者証の申請にも必要です。
費用は基本的に無料です(国が費用を負担しています)。
どうやって探すか
市区町村の福祉窓口に「相談支援事業所を紹介してほしい」と伝えると、地域の事業所リストをもらえます。
複数の事業所に連絡して、実際に会って話してみてから決めることをおすすめします。相性が大切な相手です。
私の場合は、最初に当たった人がとても親切な方で手続きの流れや相談など本当に親身になってくださいました。
最初から一つの事業所に絞らず複数に会ってみるのも手です。変更は自由にできます。
手続き⑤ 加入している保険を見直す
なぜ診断後すぐに見直すべきか
子どもに障害があるとわかった後では、加入できる保険の選択肢が狭まる可能性があります。
健康な状態のうちに加入しておくべき保険と、障害があっても加入できる保険があります。診断直後に動くことで選択肢が広がります。
障害児がいる家庭に必要な保険・不要な保険
医療系の職場で働いている立場から正直にお伝えします。
不要な可能性が高い保険は以下です。
子ども用の医療保険は、高額療養費制度と自治体の子ども医療費助成制度で多くの医療費がカバーされるため必要性が低いケースがほとんどです。学資保険は現在の金利水準では新NISAのほうが合理的です。
必要性が高い保険は以下です。
親(保護者)の生命保険は、障害児を残して親が亡くなった場合のリスクに備えるため重要性が高まります。就業不能保険は、親が働けなくなったときの収入保障として検討の価値があります。
ただし保険の設計は家庭の状況によって異なります。専門家への無料相談を活用することをおすすめします。
5つの手続きの優先順位まとめ
| 優先度 | 手続き | 理由 |
|---|---|---|
| 最優先 | 特別児童扶養手当の申請 | 申請月からしか遡れないため早いほど有利 |
| 最優先 | 受給者証の取得 | 療育開始に必須・取得に時間がかかる |
| 最優先 | 療育手帳の申請 | 各種割引・支援のベースになる |
| 高 | 相談支援専門員をつける | 受給者証申請にも必要 |
| 中 | 保険の見直し | 早いほど選択肢が広い |
特別児童扶養手当は申請した月からしか支給されません。診断を受けたら最優先で動くことをおすすめします。
※ 療育手帳を先に取得することで、特別児童扶養手当の申請時に医師の診断書が不要になります。両方を並行して動き始めることをおすすめします。
診断後に私が感じたこと
診断を受けてからもう4年が経ちます。
当時の自分に一番伝えたいことは「一人で抱え込まなくていい」ということです。
制度もサービスも、知っている人に聞けば教えてもらえます。窓口の担当者も、相談支援専門員も、同じ立場の親も、意外と助けてくれる人はいます。
まず動いてみることが大切です。完璧な準備ができてから動こうとすると、気づいたら数ヶ月経っていたということになります。
この記事が、診断を受けたばかりで途方に暮れている誰かの役に立てれば嬉しいです。
同じ立場で迷っていることがあれば、お問い合わせフォームからいつでも連絡ください。
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